日設連の概要
事業報告
令和5年度事業報告
自令和5年4月1日 至令和6年3月31日
日設連の事業
日設連では、新型コロナウイルス感染症が第5類に分類されたことに伴い、総会をコロナ禍前と同じ内容で開催するなど、役員間、構成団体間、会員間で意見交換等が再開、日設連の連携強化を図ることができました。
また、毎年4月に実施しています冷凍空調機器需要予測調査では、景況(DI)指数がマイナス1.1ポイントと4年連続マイナスにはなりましたが、前回調査より23ポイントも改善したことから、個人消費や設備投資の改善、コロナ禍の大幅な落ち込みからの反動もあったことと思われます。
そのような中、フロン対策を中心とした地球環境対策、石綿障害予防規則(石綿則)改正に伴う事前調査、施工品質の向上や冷凍空調設備業界の社会的地位の向上について、各種資格取得講習会の開催や空調設備議連、国との連携を図り、積極的に事業展開をしてまいりました。
特に、冷凍空調設備業界で新たな課題となる「石綿則に関する事前調査」について、早急に周知すべく、全国で説明会を開催いたしました。
さらに、コロナ禍で延期していましたブロック会議を5年ぶりに開催し、活発な意見交換ができました。
また、青年部会において新規事業を計画、「若手入職者確保のためのセミナー」の開催を決定し、2月にプレセミナーを開催して、来年度本格実施に向けて取り組みを促進しています。
さらに、冷凍空調関連科のある技術専門校と連携強化を図るために、「冷凍空調設備関係専門校連絡協議会(仮称)」の設立を決めるなど、来年度に向けて事業化を進めました。
その他、第12回定時総会で承認されました事業計画に従い、積極的に事業展開をしてまいりました。
以下、令和5年度に実施してまいりました主要な事業について報告いたします。
(1)業種の確立と地位の向上
1)「空調・冷凍工事」業種の確立
「空調・冷凍工事」の業種確立に向け、空調設備議連と連携して取り組みました。また、建設業法以外の観点からの検討も含めて、さまざまな角度から業種の確立に向け検討しました。
さらに、品質確保や社会的責務を発揮できるよう、国土交通省、経済産業省、環境省などの国の機関、都道府県、市町村、関連団体に至るまで、構成団体と連携を取りながら、公共工事の発注段階における「冷凍空調設備工事」の「分離発注」や「充塡回収業者・冷媒フロン類取扱技術者等の有資格者の活用」、「特記事項の活用」等に取り組みました。
2)社会保険未加入対策
社会保険未加入対策を促進し、業界の地位の向上と若年技能者の確保に努めました。また、建設キャリアアップシステム処遇改善推進協議会に参画し、特に一人親方の社会保険未加入対策について、徹底・促進を図りました。
(2)フロン排出抑制法への対応
1)機器使用時のフロン漏えい対策
① 法の周知啓発
告示(GWP値の見直し)の改正に伴い、改正内容について周知しました。
また、昨年に引き続き、国、関係機関、構成団体と協調しながら、「改正フロン排出抑制法」の説明会の開催やユーザー向け啓発パンフレット「フロンの点検が義務化されました!」、「業務用冷凍空調機器の点検は所有者の義務です!」、ユーザー向けの啓発チラシ「図解編 フロン排出抑制法」を、関係者に配布するなどし、周知を図りました。
さらに、「定期点検済み」等シールを活用して、機器の管理者の意識向上に努めました。
その他
・「運用の手引き」や啓発用のパンフレット、チラシなどの活用
・ホームページを活用して、各種資料や情報の提供
など、積極的に周知・啓発を図りました。
② 冷媒フロン類取扱技術者の養成
構成団体や(一社)日本冷凍空調工業会(日冷工)、(一財)日本冷媒・環境保全機構(IRECO)等の協力を得て、冷媒フロン類取扱技術者講習会を開催、多くの当該技術者を養成しました。
第一種の講習会実績は、72回開催、1,427名の技術者を養成しました。
また、第二種の講習会の実績は、137回開催、3,431名の技術者を養成しました。
さらに、「第一種、第二種」の更新講習は、通常開催に戻り、204回開催、一種は4,796名、二種は2,376名、合計7,172名が更新しました。
令和6年3月末現在では、技術者は第一種が31,914名、第二種が47,288名、合計79,202名となっています。
③ JRC GL-01の周知・運用
冷凍空調機器の冷媒漏えい防止ガイドライン(JRA GL-14)の見直しに伴い、冷凍空調機器の点検・修理ガイドライン(JRC GL-01)を一部改正しました。併せて、「冷媒フロン類取扱技術者講習会」等で周知・徹底を図りました。
④ ユーザーへの支援
法を実効あるものにするために、機器ユーザーのニーズを把握し、ユーザーサポートを行いました。
・告示改正に伴い、点検・整備記録簿を改正し、提供しました。
⑤ 整備業者、充塡回収業者への支援
会員を中心に、法対応の帳票類の整備、ユーザーサポートとなる材料の提供を実施しました。
⑥ 情報処理センター及び電子的冷媒管理システム運用への支援
JRECOが国から指定を受けている情報処理センターの周知と運用について支援しました。また、電子的冷媒管理システム(RaMS)業務については、機器登録を行うことで、冷媒や機器の一切の管理ができるものであるため、ユーザーや整備(充塡回収)業者にとって有益なシステムであることを周知し、利用を促しました。
⑦ 実効ある法運用への対策
・産業構造審議会WGや中央環境審議会小委員会へ委員を派遣し、フロン排出抑制法の実効ある運用について、国へ意見具申を行いました。
・国が実施する各種委員会・WG・検討会等、関係団体の委員会等に委員を派遣し、協力しました。
・国が実施する都道府県担当者が立入検査等の事業所訪問における機器調査方法等のノウハウを修得・向上させるための専門家派遣業務について、構成団体と連携を取りながら協力しました。
⑧ その他
・新冷媒の動向について、情報収集し、周知しました。また、火無し継手の情報等について周知しました。
・環境省が推進する「フルオロカーボン・イニシアティブ(IFL)」に参画し、日設連の取り組みについて報告しました。また、その他のフロン対策の国際協力、周知活動に協力しました。
2)フロン回収の促進
① 法の周知・啓発
法律の内容(含む改正内容)やフロン回収の必要性について、チラシ等により機器の廃棄等実施者等に回収促進のための周知を図りました。併せて、国や地方自治体、関係機関と協調して、フロン排出抑制法説明会を開催し、周知・啓発を図りました。
② 機器1台からの回収率向上対策
昨年度、環境省が作成した「ビル用マルチエアコンからの確実なフロン類回収のためのガイドブック」を配布するなどして、関係者へ周知を図りました。また、同ガイドブックを使用した説明会用動画作成に協力しました。
③ 冷媒フロン回収・処理システムの検討
フロン排出抑制法のもと、既存の回収冷媒管理センターの在り方を検討するとともに、回収率向上のため、回収冷媒の再生のための方策について検討しました。
④ 行程管理票の普及
「行程管理票」の更なる普及・啓発と確実な運用、電子的冷媒管理システム(RaMS)と直結する「電子行程管理票」の普及・啓発を図りました。
⑤ 建物解体時におけるフロン回収
国や地方自治体に働きかけを行い、法で定める事前確認やフロン回収の徹底に努めました。
⑥ 冷媒回収技術者の養成
JRECO冷媒回収推進・技術センター(RRC)と協調して、「冷媒回収技術者登録講習会」を124回開催、2,478名の技術者を養成しました。現在の有資格者は、26,340名となりました。
⑦ 補充用冷媒の確保
キガリ改正によるフロンの段階的製造削減に伴い、補充用冷媒の不足が懸念される状況において、再生冷媒を確保するため、国や関係団体と設立しました「冷凍空調機器の冷媒リサイクル推進会議」において、再生の必要性・重要性の周知等について検討し、チラシ「代替フロン(HFC)は貴重な資源です」を作成し、会員はじめ関係者へ配布するなど、周知を図りました。
また、ブロック会議においても「回収冷媒の再生」について周知を行いました。
⑧ 実効ある法運用への対策
・産業構造審議会WGや中央環境審議会小委員会へ委員を派遣し、フロン排出抑制法の実効ある運用について、国へ意見具申を行いました。
・国が実施する各種委員会・WG・検討会等、関係団体の委員会等に委員を派遣し、協力しました。
⑨ 国際協力
環境省が推進する「フルオロカーボン・イニシアティブ(IFL)」に参画、その他のフロン対策の国際協力、周知活動に協力しました。
(3)工事の品質の確保・技術の向上、技能士等の技術者の育成強化、人材確保の推進
1)冷媒配管施工技能者教育支援制度の構築
① 銅管ろう付け・フレア加工技術を中心とした講習会について、令和4年度の講習会の結果を受け、令和5年度の実施方法等についても、継続していくこととしました。また、令和6年度に向けて、切断工程機材及び治具について、WGを設置して、安全面や使用しやすさを考慮しながら検討を進め、試作機を制作しました。
さらに、構成団体と協調して、「銅管ろう付・フレア加工技術講習会」を17ヵ所で開催、156名が修了しました。
2)人材の確保・育成・定着への取り組み
① 若年者の人材確保のために、業界PR映像を活用して、高等学校や職業訓練校等に周知、同時にホームページやYouTubeチャンネル等に掲載し、業界のPRを図りました。
② 「冷凍空調科」のある技術専門校との連携強化を図るため、関東地区の「職業能力開発施設空調関係訓練科に係る連絡会議」に参加し、意見と情報交換を行いました。また、同会議において日設連から、冷凍空調関連科のある全国13の専門校と連携強化を図るため「冷凍空調設備関係専門校連絡協議会(仮称)」の設立を決定しました。
③ 青年部会が検討を進めている若手入職者確保のための事業活動に協力しました。
④ (公社)日本冷凍空調学会(冷凍空調学会)と協力して実用的な教育カリキュラムの構築に取り組みました。
⑤ 特定技能労働者(外国人労働者)の受入れは、当会会員企業では、17社32名となりました。
⑥ 建設キャリアアップシステムの能力評価を、(一社)日本機械土工協会へ委託して、123名の評価を実施しました。
3)登録冷凍空調基幹技能者講習の実施及び運営
① 登録冷凍空調基幹技能者制度の周知
建設現場における登録冷凍空調基幹技能者の活用を促進するため、認知度の低い当該技能者制度について、会報等を通じて周知しました。
② 登録冷凍空調基幹技能者講習の計画・実施
令和5年度上期講習会は、4月に東京・福岡で開催し、47名の技能者を認定しました。また、下期講習会は、11月に仙台・名古屋の2ヵ所で開催し、34名の技術者を認定しました。合格者は延べ1,532名となりました。
また、試験問題や効率的に講習会を開催するための検討や講師の確保・育成についても検討しました。
さらに、講習修了証の再交付手数料の値上げに伴い、登録冷凍空調基幹技能者講習事務規程を見直しました。
③ 登録基幹技能者制度推進協議会への参加
登録冷凍空調基幹技能者制度の運営団体として当会が国土交通省に登録されたことにより、登録基幹技能者制度運営団体やゼネコン、学識経験者等で構成する登録基幹技能者制度推進協議会に参加し、制度の周知・活性化等について他の制度運営団体等と協調して取り組みました。
④ 登録冷凍空調基幹技能者の更新
構成団体の協力を得ながら、円滑な更新を進めると同時に、更新率向上に努め、更新率は91.8%となり、現在の資格保有者は、1,367名となりました。
4)冷凍空気調和機器施工技能士の社会的地位の向上及び育成
① 当該技能士の養成
令和4年度の試験問題と解説を作成、同時に「冷凍空気調和機器施工技能検定過去5年間の全試験問題と解説」を改訂しました。併せて、会報「冷凍空調設備」に掲載しました。
また、事前準備講習会の周知と、構成団体の要請により、事前準備講習会へ講師を派遣しました。(5ヵ所)
② 当該技能検定試験制度への対応
求められる技能・技術に関するさまざまな意見に対応すべく、当該技能実技検定試験の実際性の整理を行うための検討を行いました。
③ 技能五輪への協力・支援
次世代を担う若い技能者の確保・育成を図るため、また、「冷凍空調技術」職種の参加者を確保し、技能・技術の向上を図るため、厚生労働省や中央職業能力開発協会等へ、「冷凍空調技術」職種への協力・支援を行いました。
令和5年度の第61回技能五輪全国大会「冷凍空調技術」職種は、11月16日に千葉で開催され、24名が出場しました。また、同日、当会の理事会を千葉で開催し、理事による視察を実施しました。
さらに、当会の会員または構成団体が協力してきた技術専門校の出場者7名(5構成団体)に対して支援金を支給しました。
(4)省エネルギーの推進
1)省エネルギー技術セミナーの開催
令和5年度の当該セミナーは、第17回優良省エネルギー設備顕彰受賞設備研修会と兼ねて実施しました。
2)優良省エネルギー設備顕彰の実施
令和6年3月21日開催の冷凍空調設備の第41回優良省エネルギー設備顕彰式を開催し、3設備を顕彰しました。また、昨年3月に顕彰しました設備(カツラヤマテクノロジーT&K事業部)の研修会を12月7,8日で開催し、17名の会員が参加しました。
(5)高圧ガス保安法に基づく安全性の確保と周知・啓発
① 高圧ガス保安法に関する検討・周知・啓発
・高圧ガス保安法の遵守や改正内容について周知しました。
・「充塡」については、「フルオロカーボン充塡ガイドライン(JRC GL-02)」の見直しについて検討を進めました。
・高圧ガス保安協会と協調して、自主保安体制の確立、冷凍空調施設工事事業所の周知・活用の促進及び更新認定業務の推進を図りました。
・(公社)日本冷凍空調学会とも連携して、保安に係る活動を推進しました。
・事故事例を周知するなど、保安確保に向けて啓発しました。
② 新冷媒等に関する情報の収集・提供
新冷媒、グリーン冷媒(自然冷媒、低GWP冷媒)の動向について周知しました。
また、違法の疑いや危険な冷媒の取扱い等についての注意喚起を行いました。
(6)最新の技術動向に関する情報提供
自然冷媒や新たな冷媒転換動向、最新機器の動向から工具・工法等に至るまで、会員に役立つ最新情報を会報に掲載するなどして周知しました。
(7)団体総合補償制度の充実と加入促進
会員企業の積極的な事業展開とリスク回避のための当該制度普及のために、構成団体へパンフレットの送付や会報への掲載等など、PRに努めました。また、会員企業のニーズに合わせて、補償制度の拡充を図りました。
(8)会員企業の経営に関する各種セミナーの開催・支援、情報の提供
中小企業税制や補助金、インボイス制度等の各種制度について、周知を行いました。
(9)会員企業に有効な事業の検討及び会員の増強対策
担当委員会を中心に、会員増強策について検討を進めました。
(10)青年部会の活性化
青年部会が独自に事業展開するに伴い、協力・支援を行いました。
(11)その他、委員会活動を積極的に実施し、各委員会の検討案議に基づく事業を推進してまいりました。
以下、委員会ごとに事業報告の詳細を記述します。