日設連の概要
事業報告
令和4年度事業報告
自令和4年4月1日 至令和5年3月31日
日設連では、“Withコロナ”を模索しながら、3年ぶりに総会を対面で開催、延期していました事務局会議も開催するなど、少しずつ通常の活動へシフトしてきました。一方で、WEBによる会議等、効率化が図られるものは、継続して実施してまいりました。
また、毎年4月に実施しています冷凍空調機器需要予測調査では、景況(DI)指数が3年連続マイナスになるなど、資機材不足や価格の高騰、人手不足の影響が大きかったことが判明しました。
そのような中、フロン対策を中心とした地球環境対策、施工品質の向上や冷凍空調設備業界の社会的地位の向上について、各種資格取得講習会の開催や空調議連、国との連携を図り、積極的に事業展開をしてまいりました。
また、事務局会議を4年ぶりに開催することができ、共通課題の抽出、問題解決に向けての意見交換ができ、構成団体間や構成団体と日設連事務局との連携強化を図ることができました。
さらに、2年前より国土交通省に申請をしていました「冷凍空調」職種における「特定技能外国人労働者」の受け入れについて、制度の一部改正が行われ、「冷凍空調」職種を含む建設業の全ての職種での受け入れが認められました。
また、主要事業である技能・技術の維持向上、フロンの漏えい対策の一環である「銅管フレア加工・ろう付施工技術講習会」もコロナの影響が残る中、開催してまいりました。
さらに、フロン排出抑制法における簡易点検や高圧ガス保安法における容器則、石綿則における事前調査等、業界として影響のある各種法令の改正について、周知を図りました。
また青年部会では、「若手入職者確保のため」の事業を実施すべく検討を重ねてきました。
以下、令和4年度に実施してまいりました主要な事業について報告いたします。
(1)業種の確立と地位の向上
1)「空調・冷凍工事」業種の確立
「空調・冷凍工事」の業種確立に向け、空調議連と連携して取り組みました。また、建設業法以外の観点からの検討も含めて、さまざまな角度から業種の確立に向け検討しました。
さらに、品質確保や社会的責務を発揮できるよう、国土交通省などの国の機関、都道府県、市町村、関連団体に至るまで、構成団体と連携を取りながら、公共工事の発注段階における「冷凍空調設備工事」の「分離発注」や「充塡回収業者・冷媒フロン類取扱技術者等の有資格者の活用」、「特記事項の活用」等に取り組みました。
2)社会保険未加入対策
社会保険未加入対策を促進し、業界の地位の向上と若年技能者の確保に努めました。また、建設キャリアアップシステム処遇改善推進協議会に参画し、特に一人親方の社会保険未加入対策について、徹底・促進を図りました。
(2)フロン排出抑制法への対応
1)機器使用時のフロン漏えい対策
① 法の周知啓発
告示(管理者の判断基準)の改正に伴い、改正内容について周知しました。
コロナ禍の影響が残る中で「法説明会」を構成団体、自治体と協調して開催しました。
また、ユーザー向け啓発パンフレット「フロンの点検が義務化されました!」や「業務用冷凍空調機器の点検は所有者の義務です!」、ユーザー向けの啓発チラシ「図解編 フロン排出抑制法」を、関係者に配布するなどし、周知を図りました。
さらに、フロン排出抑制法を一般に広く周知するために制作した「フロン法のうた」や動画等をあらゆる場面・場所にて活用し、機器の管理者、一般の方々への周知や「定期点検済み」等シールを活用して機器の管理者の意識向上を図りました。
その他、「運用の手引き」や啓発用のパンフレット、チラシなどの活用、ホームページを活用して、各種資料や情報の提供等、積極的に周知・啓発を図りました。
② 冷媒フロン類取扱技術者の養成
「第一種冷媒フロン類取扱技術者講習会」は、新型コロナウイルス感染症予防対策を取りながら開催していましたが、1月から通常の開催に戻し、81回開催、1,937名の技術者を養成しました。
また、「第二種冷媒フロン類取扱技術者講習会」についても第一種と同様に、1月から通常開催に戻して開催し、137回開催、3,227名の技術者を養成しました。
さらに、「第一種、第二種」の更新講習は、新型コロナウイルス感染症対策のため特別な開催方法で実施、1月からは対面の講習に戻し、214回開催、4,483名が更新しました。
現在では、技術者は第一種が30,455名、第二種が44,910名、合計75,365名となっています。
③ JRC GL-01の周知・運用
冷凍空調機器の点検・修理ガイドライン(JRC GL-01)を「冷媒フロン類取扱技術者講習会」等で周知・徹底を図りました。また、日冷工の「フロン類を用いた冷凍空調機器の冷媒漏えい防止ガイドライン(JRA GL-14)」の見直しに伴い、JRC GL-01の見直しについて検討しました。
④ ユーザーへの支援
法を実効あるものにするために、機器ユーザーのニーズを把握し、ユーザーサポートを行いました。
・告示改正に伴い、点検・整備記録簿を改正し、提供しました。
⑤ 整備業者、充塡回収業者への支援
会員を中心に、法対応の帳票類の整備、ユーザーサポートとなる材料の提供を実施しました。
⑥ 情報処理センター及び電子的冷媒管理システム運用への支援
JRECOが国から指定を受けている情報処理センターの周知と運用について支援しました。また、電子的冷媒管理システム(RaMS)業務については、機器登録を行うことで、冷媒や機器の一切の管理ができるものであるため、ユーザーや整備(充塡回収)業者にとって有益なシステムであることを会報に連載し周知するなど、利用を促しました。
⑦ 実効ある法運用への対策
・産業構造審議会WGや中央環境審議会小委員会へ委員を派遣し、フロン排出抑制法の実効ある運用について、国へ意見具申を行いました。
・国が実施する各種委員会・WG・検討会等、関係団体の委員会等に委員を派遣し、協力しました。
⑧ その他
・新冷媒の動向について、情報収集し、周知しました。また、火無し継手の情報等について周知しました。
・環境省が推進する「フルオロカーボン・イニシアティブ(IFL)」に参画し、日設連の取り組みについて報告しました。また、その他のフロン対策の国際協力、周知活動に協力しました。
2)フロン回収の促進
① 法の周知・啓発
構成団体や自治体と協調してフロン法の説明会を開催、また、法律の内容(含む改正内容)やフロン回収の必要性について、チラシ等により廃棄等実施者等に回収促進のための周知を図りました。
② 機器1台からの回収率向上対策
3ヵ年の集大成として、環境省がまとめた「ビル用マルチエアコンからの確実なフロン類回収のためのガイドブック」の作成に協力、同ガイドブックの説明会にも講師を派遣するなど、周知に協力しました。また、同ガイドブックを会員企業に配布しました。
③ 冷媒フロン回収・処理システムの検討
回収冷媒の再生の必要性とともに、既存の回収冷媒管理センターの在り方を検討し、回収率向上のための方策について検討しました。
④ 行程管理票の普及
「行程管理票」の更なる普及・啓発と確実な運用、電子的冷媒管理システム(RaMS)と直結する「電子行程管理票」の普及・啓発を行いました。(会報に連載しました。)
⑤ 建物解体時におけるフロン回収
国や地方自治体に働きかけを行い、法で定める事前確認やフロン回収の徹底に努めました。
⑥ 冷媒回収技術者の養成
JRECO冷媒回収推進・技術センター(RRC)と協調して、「冷媒回収技術者登録講習会」を121回開催、2,066名の技術者を養成しました。
⑦ 実効ある法運用への対策
・産業構造審議会WGや中央環境審議会小委員会へ委員を派遣し、フロン排出抑制法の実効ある運用について、国へ意見具申を行いました。
・国が実施する各種委員会・WG・検討会等、関係団体の委員会等に委員を派遣し、協力しました。
⑧ 国際協力
環境省が推進する「フルオロカーボン・イニシアティブ(IFL)」への参画やその他のフロン対策の国際協力、周知活動に協力しました。
(3)工事の品質の確保・技術の向上、技能士等の技術者の育成強化、人材確保の推進
1)冷媒配管施工技能者教育支援制度の構築
① 銅管「ろう付け」「フレア加工」技術を中心とした講習会の支援
「ろう付け」や「フレア加工」、新冷媒対策を盛り込んだ「冷媒配管施工技術講習会」を構成団体主体で開催、今年度は17回開催、165名が参加しました。
また、昨年度WEB実施した指導者(講師)研修会をWEBではできなかった、より実務的な研修を対面で10月に開催しました。
さらに、新たな工法についての情報収集と周知を図りました。
2)人材の確保・育成・定着への取り組み
① 若年者の人材確保のために作成しました業界PR映像を活用して、高等学校や職業訓練校等に、引き続き周知しました。
同時に、ホームページやYouTubeチャンネル等にも業界PR映像を掲載し、業界のPRを図りました。
さらに、青年部会において“人材の確保”についての新た事業を検討しました。
② (公社)日本冷凍空調学会(冷凍空調学会)と協力して実用的な教育カリキュラムの構築に取り組みました。
③ 特定技能労働者(外国人労働者)の受入れは、建設分野の全ての職種が認められ、国土交通省に申請していました「冷凍空調」職種についても、受け入れが認められました。
これに伴い、当会として、10月に(一社)建設技能人材機構(JAC)に加入し、会員企業のJACへの会費免除と受入負担金の集金業務を実施し、費用負担の軽減を図りました。
④ 建設キャリアアップシステムについて周知すると共に、能力評価については、(一社)日本機械土工協会に依頼して進めました。
3)登録冷凍空調基幹技能者講習の実施及び運営
① 登録冷凍空調基幹技能者制度の周知
建設現場における登録冷凍空調基幹技能者の活用を促進するため、認知度の低い当該技能者制度について、会報等を通じて周知しました。
② 登録冷凍空調基幹技能者講習の計画・実施
令和4年度講習会は、昨年度延期したものを含め4月に、札幌・東京・広島・那覇で開催し、95名の技能者を認定しました。また、下期講習会を金沢・大阪・松山の3ヵ所で開催、45名の技能者を認定しました。
また、試験問題や効率的に講習会を開催するための検討や講師の確保・育成についても検討しました。
③ 登録基幹技能者制度推進協議会への参加
登録基幹技能者制度運営団体やゼネコン、学識経験者等で構成する登録基幹技能者制度推進協議会に参加し、制度の周知・活性化等について他の制度運営団体等と協調して取り組みました。
④ 登録冷凍空調基幹技能者の更新
構成団体の協力を得ながら、円滑な更新を進めると同時に、更新率向上に努め、更新率は90.8%となりました。
4)冷凍空気調和機器施工技能士の社会的地位の向上及び育成
① 当該技能士の養成
令和3年度の試験問題と解説の作成、同時に、会報「冷凍空調設備」に掲載しました。
また、構成団体の要請により、事前準備講習会へ講師を派遣しました。
② 当該技能検定試験制度への対応
求められる技能・技術に関するさまざまな意見に対応すべく、当該技能実技検定試験の実際性の整理を行うための検討を行いました。
③ 技能五輪への協力・支援
次世代を担う若い技能者の確保・育成を図るため、また、「冷凍空調技術」職種の参加者を確保し、技能・技術の向上を図るため、厚生労働省や中央職業能力開発協会等へ、「冷凍空調技術」職種への協力・支援を行いました。
今年度の第60回技能五輪全国大会の当該職種は、11月に千葉で開催され、20名が参加しました。また、参加した職業訓練校生や会員企業には、支援金を支給しました。
(4)省エネルギーの推進
1)省エネルギー技術セミナーの開催
最新の省エネルギー技術や施設見学を兼ねた省エネルギーセミナーの開催について、新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえ、中止しました。
2)優良省エネルギー設備顕彰の実施
今年3月開催の第40回冷凍空調設備の優良省エネルギー設備顕彰では、4設備を顕彰し、顕彰式を4年ぶりに開催しました。また、今年3月に顕彰しました設備(トヨタ自動車北海道(株)パワーセンター)の研修見学会を12月1,2日で開催し、29名の参加がありました。
(5)高圧ガス保安法に基づく安全性の確保と周知・啓発
① 高圧ガス保安法に関する検討・周知・啓発
・高圧ガス保安法の容器保安規則の一部省令改正に伴い、その内容を周知しました。(耐圧が6MPまでのFC4類容器の創設)
・昨年改正された「特定不活性ガスの定義」について周知しました。
・「フルオロカーボン充塡ガイドライン(JRC GL-02)」の周知に努めました。
・高圧ガス事故事例について周知しました。
・高圧ガス保安協会と協調した自主保安体制(冷凍空調施設工事認定事業所制度)の確立を図りました。
・高圧ガス保安協会(技術委員会、検討委員会、事故調査委員会等)へ専門委員を派遣しました。
・(公社)日本冷凍空調学会の保安委員会に委員を派遣、保安に係る活動を推進しました。
② 新冷媒等に関する情報の収集・提供
新冷媒、グリーン冷媒(自然冷媒、低GWP冷媒)の動向について周知しました。
また、違法の疑いや危険な冷媒の取扱い等についての注意喚起を行いました。
(6)最新の技術動向に関する情報提供
自然冷媒や新たな冷媒転換動向、機械的継手(火無し継手)の動向等について、情報を収集し、提供しました。
(7)団体総合補償制度の充実と加入促進
会員企業の積極的な事業展開とリスク回避のための当該制度普及のために、各構成団体の 総会等での説明や「冷凍空調設備」への掲載等など、PRに努めました。また、補償内容の充実を図るため、一部内容を見直しました。
(8)会員企業の経営に関する各種セミナーの開催・支援、情報の提供
中小企業税制や補助金、インボイス制度等について、事務局会議等において周知を行いました。
(9)会員企業に有効な事業の検討及び会員の増強対策
担当委員会を中心に、事務局会議においても会員増強策について検討しました。
(10)青年部会の活性化
3年ぶりの対面での総会と理事会を開催しました。また、理事会を12月に松山で開催し、地元(一社)愛媛県冷凍空調設備工業会青年部との交流を深めました。さらに、OB会とも連携し、青年部会の活性化に努めました。
(11)その他、委員会活動を積極的に実施し、各委員会の検討案議に基づく事業を推進してまいりました。
以下、委員会ごとに事業の報告について詳細に述べます。