日設連の概要
事業計画
令和6年度事業計画
自令和6年4月1日 至令和7年3月31日
日設連の事業
日設連では、令和5年度は、フロン対策を中心とした地球環境問題、施工品質の向上や冷凍空調設備業界の社会的地位の向上について積極的に事業展開をしてまいりました。
令和6年度も引き続き令和5年度事業を継続し、フロン対策では、「フロンの排出抑制」と「フロンの回収率向上」が急務となる中、機器の所有者や廃棄者、充塡回収業者に対して、フロン排出抑制法の更なる周知と丁寧な説明、法令遵守と技術の向上に努めてまいります。
また、フロンの漏えい対策の一環でもあります施工技術の向上を図るための冷媒配管施工技能者教育支援制度の構築を目指し、銅管ろう付やフレア加工技術を中心とした「冷媒配管施工技術講習会」を開催し、多くの技能者を養成してまいります。
さらに、若年入職者の確保のために、青年部会を中心にセミナー事業の実施や、冷凍空調業界のPRPVをターゲットを変えて制作を検討するなど、対策を強化してまいります。併せて、冷凍空調関連科がある公立の技術専門校と連携を図り、連絡協議会(仮称)を設立、若手入職者確保に向けて強化してまいります。
また、新冷媒等の「高圧ガス保安法」への対応、石綿則に基づく事前調査の周知、省エネルギー対策の推進、冷媒フロン類取扱技術者や登録冷凍空調基幹技能者、冷凍空気調和機器施工技能士等の技能者・技術者の育成と制度そのものの周知、青年部会の活性化等にも力を注いでまいります。
以上のように、日設連では、「フロン排出抑制法」や「高圧ガス保安法」、「石綿則」等の関係法令の遵守を推進するとともに、業界の社会的役割を認識し、社会に貢献すべく、産業のインフラとして重要な役割を担っている設備業に係る「施工技術の向上」と「フロン対策」、「省エネルギーの推進」を積極的に行い、新ビジネスの創出と人材の確保、業界の活性化を図り、「地球温暖化防止」に取り組んでまいります。
このように令和6年度は、各種法律の遵守・周知や技能の研鑽、技術の向上、人材の確保等に積極的に取り組み、さらに、会員が一致団結して「業種の確立」を目指すなど、冷凍空調設備業界の社会的地位向上を図るため、下記のとおり会員に密着した事業を実施してまいります。
主要な事業は以下のとおりです。
(1)業種の確立と地位の向上
1)「空調・冷凍工事」業種の確立
日設連では、「建設業法許可業種区分見直し」における「空調・冷凍工事」の独立・確立を国土交通省に要望しておりますが、今年度も引き続き、建設業法以外の観点からの検討も含めて、さまざまな角度から業種の確立に向け取り組んでまいります。
また、品質確保や社会的責務を発揮できるよう、国土交通省などの国の機関、都道府県、市町村、関連団体に至るまで、構成団体と連携を取りながら、公共工事の発注段階における「冷凍空調設備工事」の「分離発注」や「充塡回収業者・冷媒フロン類取扱技術者等の有資格者の活用」、「特記事項の活用」等に取り組んでまいります。
そのためにも、法令遵守の徹底を図ってまいります。
2)社会保険未加入対策
社会保険未加入対策を促進し、業界の地位の向上と若年技能者の確保に努めてまいります。
(2)フロン排出抑制法への対応
1)機器使用時のフロン漏えい対策
フロン排出抑制法について設備工事業者として、また充塡回収業者として行わなければならない義務の徹底及び業務用冷凍空調機器の管理者(使用者)をサポートするための方策の検討と情報の提供に努めると同時に、法律の周知活動に努めてまいります。
また、技術・技能の維持・向上を図ると同時に「冷媒フロン類取扱技術者」の養成に努めてまいります。
① 法の周知啓発
昨年に引き続き、国、関係機関、構成団体と協調しながら、「改正フロン排出抑制法」の周知活動を推進してまいります。特に、構成団体や都道府県、各種団体等からの要請により「法説明会」の開催や講師派遣について積極的に対応してまいります。
また、フロン排出抑制法を一般に広く周知させるために制作した「フロン法のうた」や動画等をあらゆる場面・場所にて活用し、機器の管理者、一般の方々への周知を図ってまいります。
さらに、「定期点検済み」等シールを活用して機器の管理者の意識を高めてまいります。
その他
・「運用の手引き」や啓発用のパンフレット、チラシなどの活用
・ホームページを活用して、各種資料や情報の提供
など、積極的に周知・啓発を図ってまいります。
② 冷媒フロン類取扱技術者の養成
引き続き、「第一種冷媒フロン類取扱技術者」を、構成団体や(一社)日本冷凍空調工業会(日冷工)の協力を得ながら、積極的に講習会を開催し、養成してまいります。
また、一定の区分以下に限定されている「第二種冷媒フロン類取扱技術者」の養成についても、(一財)日本冷媒・環境保全機構(JRECO)と進めてまいります。
さらに、「第一種、第二種」の更新についても、構成団体等の協力を得ながら、更新講習会の実施及び更新の周知と更新手続きの簡素化を図った制度の構築を進めてまいります。
③ JRC GL-01の周知・運用
冷凍空調機器の点検・修理ガイドライン(JRC GL-01)を「冷媒フロン類取扱技術者講習会」等で周知・徹底を図るとともに、法に基づく確実な運用を推進してまいります。また、内容についても必要に応じて順次見直してまいります。
④ ユーザーへの支援
法を実効あるものにするために、機器ユーザーのニーズを把握し、ユーザーサポートを実施するとともに、
・ユーザー団体との意見交換
・資料の提供、法説明会の開催や講師の派遣
・点検・整備記録簿の提供
等を実施してまいります。
⑤ 整備業者、充塡回収業者への支援
会員を中心に、法対応の帳票類の整備、ユーザーサポートとなる材料の提供を実施してまいります。
⑥ 情報処理センター及び電子的冷媒管理システム運用への支援
JRECOが国から「情報処理センター」として指定されていることから、その運用について周知・支援してまいります。
また、情報処理センター業務に加え、電子的冷媒管理システム(RaMS)業務については、機器登録を行うことで、冷媒や機器の一切の管理ができるものであるため、ユーザーや整備(充塡回収)業者にとって有益なシステムであることの周知を行ってまいります。
⑦ 実効ある法運用への対策
法の運用を実効たらしめるために、法の周知やユーザーサポートを実施するとともに、
・産業構造審議会WGや中央環境審議会小委員会へ委員を派遣し、フロン排出抑制法の実効ある運用について、国への意見具申
・構成団体と協調して都道府県への働きかけ、協力、提案
・国が実施する都道府県担当者が立入検査等の事業所訪問における機器調査方法等のノウハウを修得・向上させるための専門家派遣業務について、構成団体と連携を取りながら協力
・国が実施する各種委員会・WG・検討会等、関係団体の委員会等に委員を派遣
などを実施してまいります。
⑧ その他
・新冷媒の動向について、情報収集し、周知してまいります。また、新冷媒の取扱等については、冷媒メーカーや機器メーカーと連携し、対応してまいります。
2)フロン回収の促進
機器の使用時漏えい防止対策と同時に、回収率の向上や適切な回収を促し、地球温暖化防止に貢献するため、以下のような事業に取り組んでまいります。
① 法の周知・啓発
フロン排出抑制法について、国や地方自治体、関係機関と協調して全国的に説明会を開催し、周知・啓発を行ってまいります。
また、法律の内容や回収の必要性について、チラシ等により廃棄等実施者に直接説明し、回収促進のための周知を図ってまいります。
② 機器1台からの回収率向上対策
効率的な回収技術や機器からの確実な回収技術について、検討・周知してまいります。
特に、回収率が上がらない要因を分析し、阻害要因を取り除く方策について、WG等で検討し、施策に反映してまいります。同時に一昨年度作成した「ビル用マルチエアコンからの確実なフロン類回収のためのガイドブック」を活用して、回収率向上のための周知を図ってまいります。
③ 冷媒フロン回収・処理システムの検討
フロン排出抑制法のもと、既存の回収冷媒管理センターの在り方を検討するとともに、回収率向上のための方策について検討してまいります。
④ 行程管理票の普及
「行程管理票」の更なる普及・啓発と確実な運用、電子的冷媒管理システムと直結する「電子行程管理票」の普及・啓発を行ってまいります。
⑤ 建物解体時におけるフロン回収
フロン排出抑制法や建設リサイクル法省令改正により、建物解体時における都道府県による指導・監督が強化されました。そのため、国や地方自治体と協力し、法で定める事前確認やフロン回収の徹底に努めてまいります。
⑥ 冷媒回収技術者の養成
JRECO冷媒回収推進・技術センター(RRC)と協調して「冷媒回収技術者登録講習会」を開催し、引き続き冷媒回収技術者を養成してまいります。
⑦ 補充用冷媒の確保
キガリ改正によるフロンの段階的製造削減に伴い、補充用冷媒の不足が懸念される状況において、回収・再生・再利用の必要性を周知してまいります。同時に、再生冷媒を確保するための方策を、国や関係団体との協調、協力を図りながら検討をしてまいります。
⑧ 実効ある法運用への対策
国や関係団体における検討会や制度見直しに参画するとともに、業界として意見具申を行ってまいります。
⑨ 国際協力
環境省が推進する「フルオロカーボン・イニシアティブ(IFL)」への参画やその他のフロン対策の国際協力、周知活動に協力してまいります。
(3)工事の品質の確保・技術の向上、技能士等の技術者の育成強化、人材確保の推進
審議会等において、施工技術向上とフロンの漏えい抑制への取り組みが求められています。
また、発注段階においても、発注者責任の明確化や多様な入札制度の導入により、より高い施工品質や担い手の中長期的な育成・確保が求められています。
これらを踏まえ、以下のような事業に取り組んでまいります。
1)冷媒配管施工技能者教育支援制度の構築
① 銅管「ろう付け」「フレア加工」技術を中心とした講習会の支援
「ろう付け」技術を中心に「フレア加工」や新冷媒対策を盛り込んだ「冷媒配管施工技術講習会」を構成団体主体で開催いたします。そのために、当該講習会の実施に向けて支援してまいります。
また、講習会の実施方法変更に伴い、講師研修会を開催、同時に新たな講師を養成してまいります。
さらに、新たな工法についての情報収集と周知を図ってまいります。
2)人材の確保・育成・定着への取り組み
① 施工現場における担い手確保等多様な人材確保等を支援してまいります。特に、若年者の人材確保のために、業界PR映像を活用して、高等学校や職業訓練校等に周知してまいります。同時に、ホームページやYoutubeチャンネル等に掲載し、業界のPRを図ってまいります。また、ターゲットを小学生に変えるなど新たなPRPVの制作について検討してまいります。
② 冷凍空調関連の科がある公立の技術専門校と連携強化を図るため、連絡協議会(仮称)を設置し、定期的に意見交換や対応策等について検討してまいります。
③ 青年部会が実施する「若手入職者確保のためのセミナー」事業に協力してまいります。
④ (公社)日本冷凍空調学会(冷凍空調学会)と協力して実用的な教育カリキュラムの構築に取り組んでまいります。
⑤ 特定技能労働者(外国人労働者)の受入れについて手続きを進めてまいります。
⑥ 建設キャリアアップシステムへの対応を実施してまいります。
3)登録冷凍空調基幹技能者講習の実施及び運営
登録基幹技能者は、現場での施工の実情に精通し、現場における作業管理・調整能力を有することにより、現場での実態に応じた施工方法を技術者に提案・調整し、現場の技能者に対して適切な指揮・統率を行う者であります。そのため、以下の事業に積極的に取り組んでまいります。
① 登録冷凍空調基幹技能者制度の周知
建設現場における登録冷凍空調基幹技能者の活用を促進するため、数多く養成しなければなりません。そのためにも、認知度の低い当該技能者制度について、さまざまな周知活動を通じて広めてまいります。
② 登録冷凍空調基幹技能者講習の計画・実施
登録冷凍空調基幹技能者講習委員会において、当該講習の実施計画を策定し、そのためのカリキュラムやテキスト、試験問題を作成してまいります。
また、講習・試験実施のために、同委員会試験・講義委員会において、テキストや試験問題、カリキュラム等の検討を進めてまいります。
さらに、各構成団体と協調して、講習・試験を実施してまいります。
また、効率的に講習会を開催するための検討や講師の確保・育成についても検討してまいります。
③ 登録基幹技能者制度推進協議会への参加
登録冷凍空調基幹技能者制度の運営団体として当会が国土交通省に登録されたことにより、登録基幹技能者制度運営団体やゼネコン、学識経験者等で構成する登録基幹技能者制度推進協議会に参加し、制度の周知・活性化等について他の制度運営団体等と協調して取り組んでまいります。
④ 登録冷凍空調基幹技能者の更新
構成団体の協力を得ながら、円滑な更新を進めると同時に、更新率向上を図ってまいります。
⑤ 登録冷凍空調基幹技能者の活用
登録冷凍空調基幹技能者の活用方策について検討します。
4)冷凍空気調和機器施工技能士の社会的地位の向上及び育成
① 当該技能士の養成
当該技能士を、日設連として、冷凍空調設備業界にとって必須の資格と位置付け、その取得を促進してまいります。そのために、構成団体で実施する受検準備講習会への講師を派遣、過去の試験問題解説集を作成するなど、技能士の養成に努めてまいります。
また、その講習会の講師を養成するための研修会の開催を検討してまいります。
さらに、登録冷凍空調基幹技能者の確保のためには、多くの当該技能士の養成が必要であり、特に1級技能士の確保を進めてまいります。
また、当該技能士は、登録冷凍空調基幹技能者や第一種冷媒フロン類取扱技術者の要件となるなど、その資格の価値は高まっており、更なる活用について、関係機関への働きかけを進めてまいります。
② 当該技能検定試験制度への対応
求められる技能・技術に関するさまざまな意見に対応すべく、当該技能実技検定試験の実際性の整理を行うための検討を進めてまいります。
③ 技能五輪への協力・支援
次世代を担う若い技能者の確保・育成を図るため、また、「冷凍空調技術」職種の参加者を確保し、技能・技術の向上を図るため、「冷凍空調技術」職種への協力・支援を行ってまいります。
さらに、構成団体や参加する企業、専門校への協力・支援の内容についても検討を進めてまいります。
また、中央職業能力開発協会への協力を行い、技能五輪の実施と「冷凍空調技術」職種の活性化を図ってまいります。
同時に、技能五輪国際大会での活躍に向けて協力してまいります。
(4)省エネルギーの推進
1)省エネルギー技術セミナーの開催
最新の省エネルギー技術や施設見学を兼ねた省エネルギーセミナーを開催してまいります。
2)優良省エネルギー設備顕彰の実施
冷凍空調設備の優良省エネルギー設備顕彰(第42回)を来年3月に開催し、省エネル ギーの促進に努めてまいります。また、顕彰いたしました設備の研修見学会を実施し、省エネルギー技術の進展と会員会社の事業活性化の一助としてまいります。
3)その他最新の省エネルギー情報の提供
(5)高圧ガス保安法に基づく安全性の確保と周知・啓発
① 高圧ガス保安法に関する検討・周知・啓発
・高圧ガス保安法の政省令改正に伴い、改正の内容について周知してまいります。
・「特定不活性ガス」の取扱い、新冷媒への対応については、(一社)日本冷凍空調工業会(日冷工)と協調して、進めてまいります。また、必要とあれば、全国的に説明会を開催し、周知してまいります。
・高圧ガス保安協会と協調し、自主保安体制の確立、冷凍空調施設工事事業所の周知・活用の促進及び更新認定業務の推進を図ってまいります。
・高圧ガス保安法・冷凍保安規則、冷凍保安規則関係例示基準の改定について意見具申を行うとともに、会員への啓発を行ってまいります。
・(公社)日本冷凍空調学会とも連携して、保安に係る活動を推進してまいります。
・事故事例を周知し、一層の保安確保に向けて啓発してまいります。
② 新冷媒等に関する情報の収集・提供
温暖化係数の低い冷媒やノンフロンへの転換等の動向などの情報を注視し、提供してまいります。
また、違法の疑いや危険な冷媒の取扱い等についての注意喚起を引き続き実施してまいります。
(6)最新の技術動向に関する情報提供
自然冷媒や新たな冷媒転換動向、最新機器の動向から工具・工法等に至るまで、会員に役立つ最新情報を機関誌に掲載するなど、情報を提供してまいります。
(7)団体総合補償制度の充実と加入促進
会員企業の積極的な事業展開とリスク回避のための当該制度普及のために、各構成団体の 総会等での説明や「冷凍空調設備」への掲載等など、PRに努めてまいります。また、会員企業のニーズを的確に把握し、さらに補償制度の充実を図ってまいります。
(8)会員企業の経営に関する各種セミナーの開催・支援、情報の提供
目まぐるしく変化する経営環境の中で、中小企業が生き残っていくためのさまざまなセミナーの提供や情報などを的確に提供してまいります。
また、各構成団体が希望する各種講習会・セミナーに日設連として、講師派遣やテキストの提供等、構成団体を支援できるよう対応してまいります。
(9)会員企業に有効な事業の検討及び会員の増強対策
担当委員会を中心に、会員企業に役立つ事業、魅力ある事業について検討してまいります。併せて、会員増強策についても検討してまいります。
(10)青年部会の活性化
後継者の育成や業界・日設連の発展を図るために、各構成団体青年部によるブロック活動について検討・支援してまいります。
また、日設連青年部会の活動についても協力・支援してまいります。
(11)その他、委員会活動を積極的に実施し、各委員会の検討案議に基づく事業を推進してまいります。